2LDKの元!?カレ

 病院を出るころには、午前三時を回っていた。

ひとりで中野まで帰るつもりだったが、立ち上がるとまだめまいがして、ふらふらと体が揺れた。

「今日は、このままマンションに泊まったらいい」

確かひとりで帰るのは危うい。でも、泊まるのは気が引けた。

じゃあ、どうしたらいいのか。手段なんてたくさんあった。でも、今の私にはそれを考える余裕なんてなくて。

「……本当に泊まってもいいの?」

遠慮がちに確かめる。

「ああ、もちろん。こんな状況で、それでもオレに甘えたくないなんて言うなよ」
「いわないよ」

聡は私の体を支えながら、タクシーを呼んだ。

マンションに着くと、聡は自分の部屋のベッドに私を連れて行く。

私の部屋のベッドは、おそらくマットレスがむき出しの状態だ。

余計な詮索をする余裕もない。おそらく聡は、私の体を気付かってくれたのだろう。素直に横になると、聡は優しく私の頭をなでて部屋を出て行った。

< 221 / 240 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop