2LDKの元!?カレ
お腹が満たされると、心なしか元気になれたきがして。私は心配する聡に笑顔を向けて、マンションの部屋を出た。
結局西野くんには連絡を入れずじまいだった。
おそらく、編集部に泊まったと思っているだろう。もしかしたら、電話かメールが入っているかもしれない。
エレベーターの中でスマートフォンをカバンから取とりだすと、充電が切れていたことに気付いた。
最近バッテリーの持があまり良なかったのだ。
あいにく替えの電池パックは持ち合わせていない。PCに繋げば充電可能だが、そんなことをするくらいなら早く出社した方がいいと思った。
私はスマホをカバンにしまうと、エントランスを抜けて歩き出した。
その時だった。
「志保子さん」
そう呼ばれて俯き加減の顔を上げると、目の前に西野くんが立っていた。
「祐人、どうしてここに居るの?」
「それはオレのセリフですよ。どうしてここに居るんですか?」
そういって西野くんは、落胆にも似たため息をつく。
「携帯は繋がらない、編集部にかけても出ない。丹羽さんにメールしたら一緒じゃないといわれました。昨日の昼間、あんなことがあって志保子さん落ち込んでるのを知ってたから。もしかしたらって……オレが、どれだけ心配したか分かりますか?」
問いかける目は、とても悲しそうに揺れていた。
胸が痛い。その痛みを感じながら私は、何から話したらこの事実がちゃんとと伝わるのだろうか。そればかりを考えていた。
「……ごめん。昨日は色々なことがあってね」
「言い訳は聞きたくありません。どんな理由があっても、ここに泊まったことは事実ですから」
私の言葉を遮って突き放すようにそう言うと、西野くんは背を向けて歩き出した。