2LDKの元!?カレ

 長い一日だった。

いつもなら、駆け足ですぎていく時間も、まるで進んではくれない。

それなのに、仕事は一向に終わる気配はなかった。

キーボードを叩きながら何度ため息をついただろう。そのたびに、隣に座っている西野くんはタバコを手にして席を立った。

「志保子、昨日どこにいたの?」

西野くんがいなくなると、みちるは自分のデスクから小走りでやって来て、彼の椅子に座った。

彼はみちるにもメールをしたと言っていた。だから、彼女は中途半端に私の昨日の状況を知っているのだ。

「……病院。駅で倒れちゃって」
「うそでしょ?大丈夫なの、志保子」
「うん。どうにかね」

私は無理やり笑顔を作って見せる。

「それ、西野知ってるんだよね?」
「ううん」
「ううん、って。どうして話さないのよ」

私はみちるに全て話した。するとみちるは、それ以上は何も言わなかった。

ただ「なにかあったら力になるから」そう言って仕事に戻っていった。

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