2LDKの元!?カレ

このままでいいはずがない。

しかし、彼にそんな態度を取らせてしまっている原因を作ったのは私自身だ。

だから私は、頭を冷やすといった彼がいつか出すであろう答えを、待つしかないのだと思った。

 全ての撮影が終了する頃には、午前零時を回っていた。

西野くんはそのままル・シエルに残ることになったので、モデルをタクシーに乗せると会社まで戻る。

それからスタイリストと一緒に衣装や機材を編集部へ運び込むと、後片付けを明日に残して解散することになった。

私はそのまま編集部に残り、編集作業を進めるつもりでいる。

給湯室でコーヒーを入れ、デスクに戻るとカバンからPCを取り出す。

それが立ち上がるまで私は、スマホのメールを確認した。

するとその中に、聡からのメールがあった。

開いてみると、マンションの購入者が決定したと書かれている。

立ち退きは早い方がいいそうで、内装工事を含めて三カ月後に引き渡しだという。

それまでに、持っているマスターキーを持っていかなければならない。

私はデスクの上に置いてある卓上カレンダーをめくってみた。

もしかしたら聡は、それに合わせて日本を発つのだろうか。

大切だったものをいっぺんに失うなんて。

そう考えたら急な寂しさに襲われて、どうしようもなく胸が震えた。


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