2LDKの元!?カレ

 翌日からは、デスクにかじりついての作業。

校了まではおそらく徹夜必至の忙しい毎日となるだろう。

今回は、撮影が延期になったこともあり、それが大きく影響している。

これはもう、自業自得としか言いようがないのだが。

それは十二時を少し回った時だった。

「小松。少し、いいかしら?」

編集長が神妙な顔つきで私を呼んだ。

できれば後にしてもらえたらありがたい。

そんな思いを口にすることも出来ずに、即座に立ち上がる。

「はい。なんでしょう」

編集長が私を連れてきたのはいつもの会議室だった。

こんなところに呼び出すということは、とても良い知らせか悪い知らせのどちらかだろう。

私としては前者であってほしいが、編集長の表情を見ていればそうではないことくらい察しが付く。

「小松、単刀直入に言うわ。朝カフェのムック本。メイン担当を、真田にしようと思うの」
「どういうことですか、それ」

私は思わずテーブルを叩いて立ち上がった。

朝カフェのムック本は私がどうしても手がけたかった。

他人に譲るなんて考えられない。それだけでも天地がひっくり返るほどの衝撃なのに、担当が真田さんだなんて。

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