2LDKの元!?カレ

ある日の正午。

「志保子、ランチ行かない?」
「うん、いいね。行こう」

みちるに誘われて、オープンエアーのカフェにやってきた。

「今年は梅雨入りが早いんだって。もう、やんなっちゃうよね」

そんな他愛のない話をしながら、ランチプレートつつく。

ふとみちるの薬指に目が留まった。

その視線に気が付いたのか、みちるは改まった様子で口を開く。

「これね……実は私、結婚するんだ」

みちるの頬が柔らかな朱色に染まった。そんな彼女を見ていると、私まで幸せな気持ちになれる。

「おめでとう、みちる」
「ありがとう、志保子。今日は話すつもりでランチ誘ったの。実はまだ編集長には話してないんだけど、仕事は辞めようと思ってる」
「続ければいいのに。辞めるのはもったいないよ、みちるなら両立できると思うけど」

みちるは小さく頷いて、それからまるで自分に言い聞かせるようにいった。

「かもしれない。でも、彼と話し合って決めたの。だから、後悔はないかな」
「そっか。幸せにね」

カフェでみちると別れた私は予定していた取材先に向かった。

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