2LDKの元!?カレ
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二年後。
私はラルゴの副編集長にまで上り詰めていた。
だからといって、仕事ばかりの生活に戻ってしまったわけではない。
しかし、恋はしばらくご無沙汰だ。
季節が秋めいてくると、聡と最後に別れたあの日を思い出す。
あれから聡とは一度も連絡を取っていない。
だから今、彼がどこにいて何をしているのか分からなかったが、なぜか必ず出会える気がしていた。
「あのもしかして」
帰宅ラッシュで混雑する駅のホームでそう声をかけられた。
見るとそこには見覚えのある女性がいて、私に向かって静かに頭を下げる。
「あなたは確か、聡の事務所の方」
「はい、高比良先生と同じ弁護士事務所だった緒方です」
「……だった?じゃあ今は別の事務所にいるんですか?」
「はい、そうです」
ほんの一瞬、聡のことを聞こうと思った。けれど、どうやらそれは叶わないらしい。
「少し前に独立した先生に誘われて、今は彼の事務所にいるんです」
そういって、顔を綻ばせた。
彼女はそれ以上、何も語らなかったけれど、きっとその人は特別な存在なのだろうと思った。