2LDKの元!?カレ
振りほどいた手





自宅マンションに到着すると、郵便受けから数枚の葉書と封書を取りだして、丁度降りてきたエレベーターに乗り込んだ。

階数ボタンを押すと壁に寄りかかって、自分宛のダイレクトメールに目を通す。

年々早くなるサマーセールへの特別優待。かかり付けの歯科医院からの定期検診の案内に、ヘアサロンの担当者からの暑中見舞いを兼ねたヘアメンテナンスのお知らせ。

どれにも行けそうにないな。

などと考えながらエレベーターを降り、自宅玄関のドアを開けた。

その瞬間、昨日の出来事が頭を過ってハッと息をのんだ。

まさかまた。

そう思ったて確認すると、玄関の白いタイルの上には、聡の革靴が行儀よく揃えて置いてあるだけだった。



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