2LDKの元!?カレ

「志保子待って」

心臓がドクンと跳ねたのは、昨日の夜にバスルームにいたあの人の話をするのだろう、と聡の言葉の続きを勝手に想像してしまったから。

聞きたくない。

けれど、いつかは聞くべき話じゃないか。

自分自身にそう言い聞かせて、ぎこちない笑顔を浮かべる。

「……なに?」
「オレ、明日から出張で大阪へ行かなきゃならなくて、戻りは週明になりそうなんだ」

予想に反した聡の言葉に一瞬ホッとしながらも、もやもやとした感情が渦巻いていくのが分かった。

聡に話すつもりがないのなら、問いただせばいいだけのこと。なのに、それをしないのは私のちっぽけな意地のせい。

「……そう」

そっけない返答に、聡は何かを感じたのだろう。

「志保子、どうかした?」

身を屈めて、俯く私の顔を覗き込んで、目元にかかった髪をそっとかき分けた。

< 39 / 240 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop