2LDKの元!?カレ
「志保子待って」
心臓がドクンと跳ねたのは、昨日の夜にバスルームにいたあの人の話をするのだろう、と聡の言葉の続きを勝手に想像してしまったから。
聞きたくない。
けれど、いつかは聞くべき話じゃないか。
自分自身にそう言い聞かせて、ぎこちない笑顔を浮かべる。
「……なに?」
「オレ、明日から出張で大阪へ行かなきゃならなくて、戻りは週明になりそうなんだ」
予想に反した聡の言葉に一瞬ホッとしながらも、もやもやとした感情が渦巻いていくのが分かった。
聡に話すつもりがないのなら、問いただせばいいだけのこと。なのに、それをしないのは私のちっぽけな意地のせい。
「……そう」
そっけない返答に、聡は何かを感じたのだろう。
「志保子、どうかした?」
身を屈めて、俯く私の顔を覗き込んで、目元にかかった髪をそっとかき分けた。