2LDKの元!?カレ
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「……なるほど。志保子も子供ね。まあ、聡さんも聡さんだけど。彼女のコトをさらっと聞いて、これからどうする?みたいな話にどうして持っていけないかな」
みちるはそういって、ウエッジウッドの華奢なティーカップを持ち上げるとほんのり湯気の立つアールグレイを飲み干す。
「うん、持っていけなかったんだよね」
笑われはしなかったものの、みちるのストレートな言葉に、私は反論する術もなく項垂れた。
「で、明日からどうするの?」
「まあ、とりあえず週明けまでは聡が出張でいないから、マンションに帰るつもり」
「そのあとは?」
そう聞かれた私は、意味ありげにみちるをみつめる。
すると、やれやれと言わんばかりに額に手を当てた。
「……部屋はあるけど、ダメ。こういうことは、自分でどうにかしなさい。大丈夫、限界来たら助けるから、ね」
「……そんな」
私が縋るような視線を送ると、みちるはそれを振り切るように立ち上がる。
「ということで、いいワインがあるのよ。とりあえず呑もうか」
キッチンに消えて行くみちるの背かをみつめながら、私は大きなため息をついた。