2LDKの元!?カレ

朝食を食べ終えると、みちると一緒にマンションを出た。

ここから地下鉄の駅までは少し歩く。

通り沿いにある撮影スタジオは仕事で利用することも多く、少し先のベーカリーやカフェへはプライベートでも何度か訪れたことがあるので、この辺りのことには結構詳しい。

地下鉄の駅に着くと、通勤客で込み合う改札を抜けた。

満員電車に揺られながら、私はスマートフォンを手にして、昨夜そのままにしておいた聡からの返信メールを開く。

そこに綴られた、私を労るような言葉に、ツキンと胸が痛んだ。

聡が私のついた嘘に気に付いていないはずはない。

それなのにどうして「了解。ムリはするなよ」なのだろうか。

どうせなら、罵って冷たく突き放してくれたらいい。

そうすれば、この関係に終止符を打つことがもっと楽になるのに。

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