2LDKの元!?カレ
椅子を引いて、ワンピースにしわが寄らないように気を使いながら浅く腰掛ける。
丁度いいタイミングでウイルスチェックが終わったデスクトップの画面を開いて、まずはメールに目を通す。
それぞれに返信を終えると、フォルダーを開いておととい撮影した写真のコンタクトシートの確認をした。
夏の暑さが残るこの時期に、モデルたちは真冬のファッションを身に纏い笑顔でポーズを決めている。
これは、10月号に掲載予定の秋コート特集のものだ。
私はそれをプリントアウトすると、ピックアップした箇所に赤丸を付けて編集長の元へ走った。
「大崎さん、チェックお願いします」
「了解」
大崎さんは手渡したコンタクトシートに目を通し始める。
いつも緊張が走る瞬間だ。
「うん、いいよ。このまま進めて」
「あ、はい。ありがとうございます」
意外にあっさりとオーケーが出て拍子抜けしてしまったが、いちいち立ち止まっている暇はない。
私はデスクに戻ると、作っておいたレイアウトのラフや写真、原稿などを添付したメールを担当デザイナーへと送る。