2LDKの元!?カレ

「ごめんなさい、散々手伝ってもらったのに企画ダメにして」
「ほんとですよ、もう……なんてね」

西野くんはイタズラな笑みを浮かべる。

「謝らないでください。ダメかどうかはまだ、決まってませんから」
「どういうこと?」
「さっきの話、続きがあるんです」

とりあえず座りましょうかと西野くんが言って、私はそれに従った。

二人で椅子に座ると、丁度よくそこへ食後のお茶とお菓子が運ばれてくる。

西野くんはコーヒー。私は紅茶を頂いて、小さな焼き菓子をいくつか選んだ。

小ぶりのマカロンとフィナンシェ。

どちらもとても美味しそうだが、今はその味を楽しむ余裕なんてなくて。

ウエイターが部屋を出ていくとすぐ、私は話の続きを催促する。

西野くんはひと口だけコーヒーを啜ると、

「……あの後、鏑木シェフが自分は人見知りだって言ったんです。だからオレは、心を許せる人になら取材を受けてもいいってことですかって聞きました。そうしたら、君次第だって名刺を渡されました」

と言った。
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