2LDKの元!?カレ
受付に声をかけると、ロビーの端にあるソファーに座っている女性が、私に会いに来た方だと教えられた。
誰だろう、そう思って背後から近づきながら、「お待たせしてすみません」と声を掛ける。
「お忙しいところ、申し訳ございません」
その女性はすくっと立ち上がり、深々と頭を下げた。
「あ、いえ」
肩の上で切りそろえられた黒髪。
飾り気のないシンプルなパンツスーツ。
凛としていながらも、清楚で可憐な雰囲気のこの女性に、私はどこかで会ったことがあるはず。
彼女が顔を上げた瞬間、私の鼓動は大きく跳ねた。
「私、緒方亜依と申します」
「小松と申します」
名刺を差し出され、私も慌てて持って来ていた名刺入れから一枚取り出して同時に交換する。
そこへソロリと目を落とすと、そこには聡と同じ法律事務所の名称が印字されていて、しかも名前の右上には弁護士とあった。