2LDKの元!?カレ
間違いない。緒方亜依は、あの夜うちのマンションのバスルームにいた女性だ。
「はじめまして……ではなかったですね」
平静を装って、私からそう声を掛けると彼女はコクリと頷く。
「はい。先週の夜、先生のマンションでお会いしたました」
それから彼女は時間がないので手短にといって,立ったまま話を始めた。
「本題に入る前に、これだけは言わせてください」
「……はい」
「私、高比良先生とは恋人同士ではありません」
一瞬、自分の耳を疑った。
彼女の言うことが本当なら、私はとんでもない勘違いをしてしまっていたということになる。
「そんな……嘘でしょ?」
恋人同士ではないというなら、どうして彼女はバスルームにいたのだろう。
そう思って彼女を見る。
「嘘じゃありません、私の片思いです」
彼女は小さく肩を竦めると、あの日の出来事を話し始めた。