2LDKの元!?カレ
守秘義務があるからと詳しくは話してはもらえなかったけれど、彼女は夕方にホテルのラウンジでクライアントとの面談をしていたそうだ。
その時とある事情からクライアントから罵声を浴びせられて、頭からコーヒーをかけられてしまい、動揺した彼女は聡に電話をかけた。
迎えに来た聡は泣きだした彼女を放ってはおけず。事務所に連絡をしてクライアントへのフォローを依頼した後、自宅マンションで彼女が落ち着くのを待って、シャワーを貸した――ということだった。
「先生に優しくされて、正直、期待してしまったんです。でも、一緒に住んでいる恋人がいただなんて知らなくて、私」
「ごめんなさい」彼女はいきなり頭を下げた。
「私、ワザとあなたと鉢合わせしたこと黙ってました」
「……ワザと」
どうしてそんなことをしたのか。聞くまでもないと思った。
彼女は聡のことが好きで、そうすることで私との関係が拗れるきっかけを作ろうと思ったのだろう。
私と聡は恋人同士ではないのだけれど。
でも、あの夜私は『聡とヨリを戻してもいい』などという気持ちを胸に帰宅した。
しかし、玄関を開けたところでバスルームにいた彼女と鉢合わせしてしまい、驚いた私は慌てて家を飛び出して
その結果として、彼女の思惑通りに私と聡の関係は拗れた。