2LDKの元!?カレ
「本当にごめんなさい。出張中、先生が塞込んでいるのを見て、自分のしたことが原因だと思ったから……話したんです全部。もちろん、私の気持ちも」
緒方亜依の瞳には大粒の涙が浮かんでいて、今にもこぼれ落ちそうだ。
「聡はなんて?」
「そうか。とだけ」
「そう」
彼女のしたことは、許しがたいことだ。
けれど、すべてが彼女のせいではないことくらいわかっている。
だから、聡も彼女を責めたりしなかったのだろう。
彼は優しいから。
その優しさは、いつだって私に向けられていた。
今ならわかる。おそらく彼女を家にいれたことを言わなかったのは私に余計な詮索をさせないためだったということが。
もし、私が問いただせばその時は包み隠さずに話すつもりだったのだろうことも。
それなのに私は、聡を疑うことしかしなかった。
私の留守中に、恋人を連れ込んで黙っているなんて酷い男だと思っていた。
こんな結果を招いたのは、自業自得だと言われても仕方がない。