2LDKの元!?カレ
さよならと揺れる心
*
午後十時。
私はようやく修正が終った企画書をプリントアウトしファイルに閉じると、大崎さんのデスクに置いた。
ホッと一息つく間もなく、PCの電源を落とすと編集部を出る。
実は二時間ほど前に、大崎さんから営業部との打ち合わせという名の飲み会に誘われたのだが、作業の手を止めたくないからと断った。
すると私の代わりにと、西野くんが連れていかれたのだ。
私は駅に向かいながら、西野くんにメールを送る。
すぐに返ってきたは内容は、『みんな既に出来上がっているので、こなくてもバレないし、むしろこない方がいい』というものだった。
この飲み会には、過去に何度も参加しているで、今がどんな状態かは想像がつく。
大崎さんも営業部の面々も日頃のストレスを発散するかのように沢山飲むのだ。
そして、朝まで飲み明かす。
私の立場上、今からでも合流しなければならないのだが、今日だけは勘弁してもらおう。
再度西野にメールを送って地下鉄に乗り込むと、丁度空いていた座席に身を沈めた。
今日は朝からいろんなことがあって、疲労困憊だ。
体が鉛のように重い。
心もだ。
自宅マンションに近づくに連れて、その重さが徐々に徐々に増していくのを感じた。