2LDKの元!?カレ
「……志保子」
泣いているのかと思った。
それくらい聡の声が震えている。
トクトクと響く鼓動は、私のものなのか、聡のものなのか分からないくらいに混じり合って聞こえて。
こんなふうに抱き合うのもこれで最後になるのだと考えながら、私はその胸に埋もれたまま、まるで惜しむように聡の体温を感じていた。
「ごめんな、志保子。緒方から聞いたよ。あの日、オレの制止を振り切って家を飛び出したのもその理由?」
「……う、ん」
そう聞かれて、私は曖昧な返事をした。
「聡は何も言ってくれないから、酷いなって思って頭にきてたの。でも、緒方さんから理由を聞いたら、仕方なかったのかなって思えたよ」
本当の理由はそれだけではない。
けれど、ヨリを戻したかったことも、彼女に嫉妬したことも、今はもう伝えるべきではないのだ。