2LDKの元!?カレ

深夜帰宅すると、テーブルの上にラップのかかった料理が並んでいて、私はよくそれを一人で食べていた。

申し訳ないと思いながら。

このマンションを購入して、聡と一緒に暮らし始めたとき、家事は分担にしようと決めたのだ。

どちらの負担にもならないように、と。

けれど引っ越してすぐ、私に編集部への異動の話が来た。

聡は私がずっと異動願いを出していたのを知っていたし、頑張れと背中を押してくれたのだけれど。

編集部の仕事は思っていた以上にハードで、校了前の一週間は仕事が朝方まで及ぶこともあった。

始めは仕事と家事を両立させようと必死だったのだ。

どちらも大切だったし、お座なりにはしたくなかったから。

でも結局、両立は無理で……、そんな私を聡は、何も言わずに支えてくれた。

私がごめんねを言う度に、気にするな、無理だけはするなよと言って。

< 99 / 240 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop