嘘つきアリスの秘密の放課後
第1章
不思議の国への招待状
4月。
冬の寒さもなくなり、薄ピンクの花弁がヒラヒラと舞う春。
「ん…よし。後は鞄っと…。」
淺霧栞那は靴を履き隣に置いてある鞄を手に取った。
「今日でここともお別れか…。」
栞那は制服の中から手紙を取り出した。
去年の12月の上旬に死んだ両親の親友だったという鮠椙さんという人から届いた手紙だ。
手紙には両親のいない私に自分が理事長をしている私立浅葱高等学校に来ないかという誘いの手紙だった。
学費、寮費、生活費も全部負担すると書かれており親戚にこれ以上迷惑をかけないように中卒を考えていた私にはとてもいい話だった。
「おし、行ってきます。」
栞那はドアに鍵をかけアパートの管理者の崗森さんに鍵を渡し「ありがとうございました」と一言お礼を言い昨日の夜に呼んでいたタクシーに乗り込んだ。
このアパートから私立葱高等学校まで約1時間かかるらしく近くに電車もバスもないので仕方なくタクシーに乗ることにしたのだ。
まかさ親戚から送られてくる生活費を少しずつ貯めていたのがこんな所で役に立つとは思ってもいなかった。
† † † † †
「ん~。やっと着いた~。」
栞那はタクシー代を払い外に出た。
「うわっ…でかっ!」
私立とあって校舎は綺麗で小・中・高・大と揃う敷地内はとても広い。
「私…ここに来て良かったのかな…。」
入る前から弱気になってしまう。
しかし、ここに立ち止まってるわけにも行かなく、この敷地内から高校の職員室を探さないといけないのだ。
念の為と早く来てしまい、生徒はいない。
ということは1人で職員室を探さないといけない。
「念の為って…普通に来るべきだったな…。」
栞那は校舎の中に足を踏み入れる。
校舎はここからでも見えるのだがたくさんある。
この中から高校の校舎を見つけ出さないといけない。
「勘かな~。…じゃあ…」
「ここから見て左から3番目の校舎が高校だ。」
………え?
「だから、左から3番目だよ。」
栞那は声の元を探ろうとキョロキョロするが前後左右どこにも人はいない。
「幻聴?」
「ちげーよ。上だ。」
「上?」
栞那は後ろにたっている木を見上げた。
「…え?」
そこには、木の上で栞那を見下ろす1人の男。
男は軽々と木から降りると栞那の目線にあわせてしばらくじっと栞那を観察すると急にニコリと微笑んだ。
「よく来たな、アリス。」
この男はきっとイケメンの分類に入るのだろうが、気がかりな点が一つ。
「アリス?」
「あぁ。お前アリスだろ?本当は白ウサギのヤローが迎えに行くんだが白ウサギは今、手が放せないらしいからな。あ、後…」
イヤイヤイヤイヤ!ちょっ!
「ちょっとストップ!」
栞那の大きい声に驚いたのか男はキョトンとしている。
「悪いけど多分人違い!イヤ、絶対人違い!」
「人違い?んな訳ねーだろ。淺霧栞那、15歳。6月8日生まれで5年前に両親が死に親戚から生活費を貰いながら1人暮らし。…お前だろ?」
男は栞那に確認をとる。
栞那は目を点にしながらキョトンと頷いた。
「あ、1つ言っとくがこれは学校からの情報であって俺がお前に興味を持って調べたとかんなんじゃねーから。」
ツッコミどころ満載な男の発言は例えツッコミ役でも裁ききれないだろうと栞那は1人実感していた。
「んじゃ、行くぞ。」
「はぁ?どこに?」
男はまたニコリと笑い、
「決まってんだろ…」
† † † † †
「ここだ。」
手を引かれて連れてこられたのは何故か保健室。
「ここ…保険室…ですよね?」
見れば分かるだろと一言返すと男は保険室のドアを開けた。
冬の寒さもなくなり、薄ピンクの花弁がヒラヒラと舞う春。
「ん…よし。後は鞄っと…。」
淺霧栞那は靴を履き隣に置いてある鞄を手に取った。
「今日でここともお別れか…。」
栞那は制服の中から手紙を取り出した。
去年の12月の上旬に死んだ両親の親友だったという鮠椙さんという人から届いた手紙だ。
手紙には両親のいない私に自分が理事長をしている私立浅葱高等学校に来ないかという誘いの手紙だった。
学費、寮費、生活費も全部負担すると書かれており親戚にこれ以上迷惑をかけないように中卒を考えていた私にはとてもいい話だった。
「おし、行ってきます。」
栞那はドアに鍵をかけアパートの管理者の崗森さんに鍵を渡し「ありがとうございました」と一言お礼を言い昨日の夜に呼んでいたタクシーに乗り込んだ。
このアパートから私立葱高等学校まで約1時間かかるらしく近くに電車もバスもないので仕方なくタクシーに乗ることにしたのだ。
まかさ親戚から送られてくる生活費を少しずつ貯めていたのがこんな所で役に立つとは思ってもいなかった。
† † † † †
「ん~。やっと着いた~。」
栞那はタクシー代を払い外に出た。
「うわっ…でかっ!」
私立とあって校舎は綺麗で小・中・高・大と揃う敷地内はとても広い。
「私…ここに来て良かったのかな…。」
入る前から弱気になってしまう。
しかし、ここに立ち止まってるわけにも行かなく、この敷地内から高校の職員室を探さないといけないのだ。
念の為と早く来てしまい、生徒はいない。
ということは1人で職員室を探さないといけない。
「念の為って…普通に来るべきだったな…。」
栞那は校舎の中に足を踏み入れる。
校舎はここからでも見えるのだがたくさんある。
この中から高校の校舎を見つけ出さないといけない。
「勘かな~。…じゃあ…」
「ここから見て左から3番目の校舎が高校だ。」
………え?
「だから、左から3番目だよ。」
栞那は声の元を探ろうとキョロキョロするが前後左右どこにも人はいない。
「幻聴?」
「ちげーよ。上だ。」
「上?」
栞那は後ろにたっている木を見上げた。
「…え?」
そこには、木の上で栞那を見下ろす1人の男。
男は軽々と木から降りると栞那の目線にあわせてしばらくじっと栞那を観察すると急にニコリと微笑んだ。
「よく来たな、アリス。」
この男はきっとイケメンの分類に入るのだろうが、気がかりな点が一つ。
「アリス?」
「あぁ。お前アリスだろ?本当は白ウサギのヤローが迎えに行くんだが白ウサギは今、手が放せないらしいからな。あ、後…」
イヤイヤイヤイヤ!ちょっ!
「ちょっとストップ!」
栞那の大きい声に驚いたのか男はキョトンとしている。
「悪いけど多分人違い!イヤ、絶対人違い!」
「人違い?んな訳ねーだろ。淺霧栞那、15歳。6月8日生まれで5年前に両親が死に親戚から生活費を貰いながら1人暮らし。…お前だろ?」
男は栞那に確認をとる。
栞那は目を点にしながらキョトンと頷いた。
「あ、1つ言っとくがこれは学校からの情報であって俺がお前に興味を持って調べたとかんなんじゃねーから。」
ツッコミどころ満載な男の発言は例えツッコミ役でも裁ききれないだろうと栞那は1人実感していた。
「んじゃ、行くぞ。」
「はぁ?どこに?」
男はまたニコリと笑い、
「決まってんだろ…」
† † † † †
「ここだ。」
手を引かれて連れてこられたのは何故か保健室。
「ここ…保険室…ですよね?」
見れば分かるだろと一言返すと男は保険室のドアを開けた。
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