幽霊女に恋をした。
「人みたいに表情を変えていって…」
空は、だんだんと黒い雲で
覆い隠されて、雨が降りそうな
天気になる。
「そう思うと、不思議だなぁって」
そう、晴は笑う。
俺は、何も言わずに空を
見上げ続ける。
「それに、昔となにも変わらない」
昔って言うのは、晴が生きていた
時代のことだろう。
「景色はどんどん変わっていくのに、空だけは変わらない。…だからなのかもしれない」
「だから…?」
だから、空が好きってことか?
「はい。だから、変わらないから、空が好きなのかもしれない」
俺には…わからないな…
変わらないものを、どうして晴が好むのか。