幽霊女に恋をした。
私の生きていた時のことを聞いて欲しい
訳じゃなかった。
うまく言えないけれど、
多分、柊羽さんを励ましたい一心だったんだ。
「私、兄と二人暮らしをしていたんです」
柊羽さんは、黙って耳を傾けてくれた。
「兄様は医者で、私にとってはたった一人の家族で、憧れの人でした」
兄様を思い浮かべながら話す。
兄様から、色んな事を教わった。
ほとんどが、医術に関わることばかりだった
けれど。
「私が困っている時、泣きそうな時も、いつもそばにいてくれるのは兄様で、どんな話でも聞いてくれて、助言してくれました」
「晴ちゃんって、困って立ち止まったりとかしなさそうだと思ってた」
柊羽さんは淡く笑いながらそんな事を言う。
「私だって、困ることぐらいありますよ!」
というか、たくさんありすぎた。