幽霊女に恋をした。



「どんな時?」


えっと...



「私、兄様の仕事の手伝いをしていたんですけど、患者さんが苦しんでるのに何もしてあげられない時とか、患者さんの病気が全然治ってくれない時とか...」




そういう時は、困った、というか


どうしようもなくなっていたのを、覚えてる。




すると、隣で柊羽さんがふっと笑った。


「えっ?柊羽さん?」


どうして笑うの?




「晴ちゃんは、困るっていっても他人のことばっかりじゃん」



え....


確かに、そうかもしれない。


困ったこと、と思い浮かべても


患者さんのことしか思い浮かばなかった。




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