幽霊女に恋をした。
「龍さん...怒ってます?」
「べつに」
「うっ...」
そっけなく答えると、晴は怯んだように
少し歩調をおとした。
それから学校に着くまで、本当の意味の
背後霊と化した晴がずっとついて来ていた。
学校につくと、柊羽が
話し掛けてくる。
昨日の喧嘩なんて、全くなかったようだ。
「龍、今日いつもに増して不機嫌そうだけど、どうかしたのか?」
「いつもに増してって、どういう事だよ」
「いっつも仏頂面じゃん、龍って」
こいつ...
さりげなく喧嘩売ってんのか?
「喧嘩なんか、売ってないからな」
「は?」
「いや、何となく。喧嘩売ってんのか?とか、思ってそうだったから」
やっぱ、こいつには敵わない。
すると柊羽は、晴が今まで全く喋っていない
のに気づいたらしく、驚いたように晴を見る。
そして、俺に
「晴ちゃん、どうかしたのか?」
と、耳打ちをしてくる。
「俺が知るか」