幽霊女に恋をした。
「別れが辛くなる」
真堂さんからこんな言葉が出るのを
想像もしてなかった。
「別れが...。確かに、そうですけど...」
「ま、悲しませない方法もあるけどな」
え...
「どんな方法ですか?」
「成仏するとき、自分と関わった全ての人間の自分に関する記憶を消すか消さないか、選ぶんだ」
「それは...つまり...」
真堂さんは無表情で、何を考えているのか
読み取れなかった。
「自分が幽霊になってからこの世界でしてきたこと全部、無かった事になる。相手の方は苦しくねーけど、お前は苦しいかもな」
そんなのことが出来るんだ...
「ま、どっちにするかはお前の自由だけど。俺には効かねーから」
効かない...?
「それって、どういう事ですか?」
「記憶を消す方を選んでも、俺は覚えてる。というか、思い出す。何かの拍子にな」