幽霊女に恋をした。
黙って俺の話に耳を傾けていた晴が
口を開き、とても優しい口調で言った。
「今でも手紙をくれるってことは、龍さんのお母さんは、今でも龍さんのことを大切に思ってるって事じゃないでしょうか?」
「ホントに、そう思うか...?」
母さんは、俺が
10歳までは、仕事一筋。
11歳からは、未維奈一筋。
そして俺が
15歳からは、一人暮らし。
誕生日を誰かに祝ってもらえたことなんて
ない。
言われなければ、誕生日なんか忘れている
ぐらいだ。
でも、それでも。
今、義父と未維奈と幸せに暮らしていても。
俺のことも大切に思ってくれてる。
なんてこと、あるんだろうか?
俺は、忘れられた存在なんじゃないだろうか?
未維奈は、俺のことなんか、ほとんど
覚えてないだろう。