幽霊女に恋をした。
「私は、そう思います。...けど...」
けど、と、聞き取れないぐらいの声の
大きさで言ったのがわかった。
やっぱり、晴は正直者だ。
思ったことが口に出てしまう性分だ
というのはわかってた。
今も多分、確信がないから
はっきりと断言は出来なかったんだろう。
「今のは、忘れてくれ。俺は大丈夫だから」
「でも...」
そう、晴は言いかけて、はっとしたように
顔を上げた。
「龍さんの義父様の名前って?」
なんで、そんなこと聞くんだろう?
「...李仁(リヒト)。奥田李仁。」
不思議に思いながら、義父の名前を
口にする。
すると、晴は少し考えるような顔をした後
「龍さん、私、明日は学校お休みしますっ!それじゃあ、おやすみなさいっ」
と、弾丸のように言った。
「お...おい、おやすみって、まだ五時...」
俺がいい終える前に、晴はさっさと
姿を消してしまった。
あいつ...ぜってーなんか企んでる。