幽霊女に恋をした。
ぶんっと、はるの手が俺の顔を
通過した。
はるは、自分の手を見つめ
少し悲しそうな顔をする。
多分、というか、今のは明らかに
俺に平手打ちをしようとしていた。
はるは、ぐっと顔を上げると
「生きてても楽しいことないなんて…ふざけないで下さいっ!!」
いつもの穏やかな感じなはるの
剣幕に少し押される。
「あなたが面倒とか言っていい加減に生きてる今日は、昨日死んだ人がどうしても生きたかった明日なんですよっ!」
自分より遥かに小さなはるに
すっかり言いくるめられてしまった。
「心、入れ直してください!」
それだけ言うとはるは、そのまま屋上を
出て行ってしまった。