幽霊女に恋をした。
「...また、晴に助けられた。ありがとう」
そう言って、龍さんは私と目線をあわせ
微笑んだ。
「私は、特に何も...」
ほんの少しだけ、お手伝いをしただけだ。
「してくれたよ。すごく大きなことを」
龍さんの表情は優しげで、瞳は愛情に
満ちていて、少しドキッとする。
って...私、死んでるのに....
「今日は、本当にありがとう、晴」
「い...いえ、そんな...」
「生まれて初めて、誕生日を祝ってもらえて、母さんの気持ちも知れた。全部、晴のおかげだ」
そう言われ、私は左右に首を振る。
誕生日祝いは、柊羽さんと真堂さんの
おかげだし、お母様の気持ちが知れたって
いうのは、お母様が頑張ったから。
でも...私でも、役に立てたんだ。
龍さんのために。
...頑張ってみて...本当に良かった。
心から、そう思えた瞬間だった。