幽霊女に恋をした。



「なんでだよ?俺は…」



「今の龍さんには、龍さんのことを大切に思ってくれる人がたくさんいます!今、病室で龍さんの側についている柊羽さんに、真堂さん。やっとこの間分かり合えたお母様も。その人たちを悲しませるつもりですか!?」




そういうと、龍さんは黙り込んだ。




「戻って下さい。龍さんは、ちゃんと、元の世界に」





そういって微笑むと



龍さんは、少し間を置いてから





「…わかった」



といった。








そして、今度は龍さんが私の手を



ひいて、屋上から出て行こうとする。






けど…



「龍さん、ごめんなさい」




意を決して口を開く。




ちゃんとしたお別れを言えるなら



今しかないから。





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