私、ヴァンパイアの玩具になりました
外に出ると、少し肌寒くて薄暗かった。

私が、庭を適当に歩いていると。草原に右膝を立て、ヘッドホンを耳に付け、曲を聴きながら空を見上げてる嶺美さんがいた。


私は、嶺美さんの隣に、ゆっくり座った。

「なに………」

嶺美さんは、ヘッドホンをとって、私を睨む。

「なんの曲聴いているんですか?」

私は、笑顔で嶺美さんに興味津々で聞いた。

「……聞いてなんの得があるの」

「………………うっ」

得って言われたら……。

「「………………」」

嶺美さんは、ヘッドホンを付けて曲を聴きだした。


うーん。なんで、私、嶺美さんについてきたんだろう?嶺美さんにとって私は、邪魔な感じの人だろうし……。

私は、暇になって、嶺美さんと同じように空を見上げた。

「………キレイ…」

薄く出ている満月に、まだ出ている赤い夕陽に照らされて赤くなっている雲。

こんな綺麗な景色見たことない……。


「…………………」

「キレイですね……。嶺美さんは、こんなキレイな景色を見てたんですね」

私は、嶺美さんに向かってニッコリ微笑んだ。


「…………………」

ですよね、聞こえてるわけ無いですよね!

私は、少しショボンとしながら、また空を見上げる。


「………生きてて良かった……」

こんなキレイな景色、見てない人は損だよ。

「「…………………」」


「お前さ」

「………………?!は、はい!」

急に嶺美さんに話し掛けられ、ビックリした私は、不自然な手の動きをしてしまう。

「なんで、俺の所来たわけ?」

嶺美さんは、ヘッドホンをとって、私の方に無表情のまま向いた。


「なんででしょう?私も、分かりません。……あはは………」

最後は、笑って誤魔化す私。

「やっぱり、バカだったんだ………」

「うっ……………」

「凄いな。期待を裏切らないバカって、初めて見た」

「うっ……………」

ここまで、バカバカ言われたら、さすがに、ヘコむ……。

「バカって、血美味いの?……お前、SSAなんだよな?」

「まぁ、はい………」

うぅ………。なんで、こんなにバカを強調するんだろう……。


「今、試しにバカの血飲んだらダメ?」

私の腕を、掴んで。嶺美さんは唇を私の腕にあてた。


あ、あれ?私、まだ良いって言ってないような……。


私が、考えてる途中、嶺美さんは私の腕に牙をあてて私の血を飲み始める。

「…………っぅ────」

嶺美さんの、飲み方は藍さんより少し優しかった。痛いのは、変わりないけど。

でも、分かった事は。やっぱり痛みに慣れると、その痛みが気持ち良くなってくる。
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