私、ヴァンパイアの玩具になりました
「……………っは、……。ふーん……。SSAって、やっぱり美味いんだな………」

嶺美さんは、私の腕から唇を離す。

私の腕からは、少し血が流れていて。牙の形をした傷が、生々しく残っていた。

「…………………」

そして、血を目の前で飲まれた私は、再確信する。


やっぱり、この人達はヴァンパイアだ……。


今更更更の、私。ヴァンパイアに、少しビビっています。

彼らに、血を飲まれる度、何か深い穴に堕ちてしまいそうな予感がする。


「「………………」」

私は、嶺美さんをガン見してしまう(ビックリ等するとよくやる癖)。

嶺美さんは、私の腕を見てた。

「「………………」」

なんか、気まずい……。

私が、心の中でそう思った事が、分かったのか。嶺美さんは、私に嶺美さんのヘッドホンをそっと、つけてくれた。


ヘッドホンからは、キレイなフルートとヴァイオリンの音が重なり合う音楽が聞こえた。

凄い、優しい曲調で、心が落ち着いた。


「…………………」

嶺美さんは、何かを私に言った。私は、気になって、ヘッドホンを外す。

「あの、なんて言ったんですか?」

「…………………。ちょっと位、認めてやる…」

ぶっきらぼうに、嶺美さんが言った。

「……あ、ありがとうございます………?」

でも……、何を…………?


「…………………」

嶺美さんは、私からヘッドホンをとって、立ち上がる。

「戻るんですか?」

「いや、ちょっと散歩………」

「私も、一緒に散歩して良いですか?」

「別に………」


ん?良いって事かな?

嶺美さんは、歩きだしたので私も嶺美さん隣に並んで庭を歩いた。

「わぁ………」

凄い!凄い!噴水がある!しかも、何故か、薔薇が浮いていている!?

「わぁ………?!」

な、なんでコウモリの銅像が?!

「ぷっ…………」

「………え?ど、どうしたんですか?」

嶺美さんが、急に笑いだした。

「ハハッ……。十面相してる……、アハハッ………」

嶺美さんは、涙を流すくらい大笑いしていた。

「わ、私、そんなに変な顔してましたか?!」

私は、恥ずかしくて両手で赤い顔を隠した。だけど、嶺美さんに両手を外される。

「もっと見せろよ。十面相………」

両手首を、上に引っ張られて、赤くなった顔は、嶺美さんに見られる。

「い、意地悪しないで下さいよ………」

「その顔、逆効果だから………」

「うぅ…………」

私は、目をギュッと瞑る。

嶺美さんは、私の耳に口を近づけて囁く。

「………ねぇ?それ、誘ってるの?」


「………さささささ誘ってません!私、お金無いから、遊べません!」

嶺美さんは、一瞬動きを止めた。そして、また口を緩めて。

「………………。くっ…、アハハッ……。まさか、ここまでバカだったなんてな…。お前みたいな女、初めてだ……。面白い…、一気に興味持った……。お前…、すげぇな……」

「………………?ありがとうございます?」

これって、褒められてるのかな?

「はぁあ………。初めて、こんなに沢山笑った……」


嶺美さんは、しゃがみこむ。しゃがみこんだ後も、クスクスと嶺美さんは笑っていた。
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