私、ヴァンパイアの玩具になりました


私が建物の前でうろちょろしていると。


「おい!!お前!何者だ!!」


黒スーツを着た男の人が怖い顔で私にズカズカと近付いてきた。


「か、神咲優です!!」


私は恐怖&パニックで、何故か自己紹介をした。


「そう言う意味じゃない!!コッチに来い!不審者め!!」


黒スーツの男の人は、私の首根っこを掴み。私の事をズルズル引きずって建物の中にいれる。


「あ、あの!私、不審者じゃなくて、神咲優ですよ!!!」


引きずられてる間も、私は名前を言いまくる。だって、不審者じゃないもん……。だって、怖いんだもん……。


どうしよう……。このまま、冷たくて暗い牢屋にいれられて……。水しかくれなくて……。おばさんに会えなくなったら……。


「ぅ……。うわぁあぁぁん!!嫌だよ゛ー!水だげば、嫌だよ゛ー!おばざんに会いだいよー!」


「…何バカな事言ってんだ!」


「うわぁあぁあぁあん!!!助げでー!」


「あーもー!うるさい!ほら、ここの部屋にはいれ!ほら!」

黒スーツの男の人に、背中をドンッと押されて、広い部屋に投げ出された。


「ぃだぁ…………」


私は、膝から倒れて土下座みたいな姿勢で転んだ。

「ご主人様!怪しい者が、この建物の前で、うろちょろしてました!」


また、首根っこを掴まれ無理矢理立たされる。私はズビッと、鼻水をすった。


「おやおや…。可愛い女の子じゃないかね…」


ぼやける視界の中で、私は必死に、相手の顔を見ようと頑張る。


優しそうな、おじさん……?


「うぅ……、わだじ……、ふじんじゃ、…ないでず………」


黒スーツの男の人に、おじさんの方へ突き出される。


「そうかい、そうかい…。じゃあ、まず、涙と鼻水を拭きなさい。落ち着いてから、話を聞こうじゃないか…」


私は、おじさんにティッシュをもらい、涙と鼻水を拭いた。


そして、ちょっと落ち着いてきた頃に。


「で?お嬢さん、君は、どうしてココへ来たのかい?」

私を、フカフカのソファに座らせて。私の向かいに、おじさんが座った。

黒スーツの男の人は、おじさんの後ろに立っていた。


「ぇっど、地図をみで、ずずんでぎだら……。………、ココに来てまじだ………」


「地図?」

おじさんは、首を傾げた。

私は、はっ…として、その地図を見せた。


「これでず……。……あの今日がら私、一人暮らしする事に、なってて……。……そして、自分で、写した地図で一人暮らしする家に行こうと思ったらココに………」


おじさんは、私から地図を受け取り、ジーッと見る。

「失礼だけど、よくこんな地図よめたね…」

「そうですか?…普通だと思うんですけど……」


「お嬢さんにしたら、普通かもしれないね」

おじさんは、苦笑いをこぼしてから、地図を私に返してくれた。


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