私、ヴァンパイアの玩具になりました
「はぁぁ……………」

私が、近くのテーブルにリンゴジュースが入ったコップを置いたとき。

「あの………」

「は、はい?」

私は、知らない男の子に肩をトントンと叩かれ声をかけられた。


綺麗な薄い黄緑色の髪に、耳にかけれる位に長い髪の毛。目は、切れ長でクールな印象が強かった。身長は、私より断然高くて多分百八十を越えている。

「一緒に、この後のダンス踊ってくれませんか?」

男の子は、大きな声で叫んだ。

「え……えぇ?!」

私も、男の子に負けないくらいの大きな声で叫んでしまう。

「あ、……誰か相手いましたか?」

「ぃ、いえ。いませんけど……」

な、なんで私……?

男の子に、ジーッと見られて私は、体が動かなくなる。

この感覚…、どこかで……。

「けど……?俺と踊るの嫌ですか?」

「いえ。そんなことは…。ただ、私ダンスを踊ったことが無いので…」

申し訳ない気持ちで、一杯になりながら男の子に告げる。


「大丈夫です。俺が、上手くリードしますから…」

「へ?」

「なので、一緒に踊ってくれませんか?」

断られるかと思った……。だって、足踏んだり、蹴るかもしれないのに。

「……は、はい……。よろしくお願いします……」

「こちらこそ、よろしくお願いします…。俺は、鬼稀唯(キキ ユイ)です。夜鬼学園(ヨキガクエン)の今年から二年生です」

「あ、私は神咲優です。…私は、今年から夜鬼学園の一年生になります」

言い忘れていたけれど…今、三月の後半です。今年、私は夜鬼学園に受験して無事合格しました!

私達は、軽くお互いにお辞儀をする。

「そっか。優さんは、俺の年下だったんですか……」

鬼稀先輩は、あはは、と笑った。

「なんか、すいません……」

「いえ。年齢は関係ないですから」

鬼稀先輩が、自分の頭に手をあてて撫でていた。

「なら、良かったです……」

私が、微笑んだと同時に八時丁度の鐘が鳴った。

どこからか、綺麗な音楽が流れる。

「あ、始まった。…優さん、俺の手握ってください」

「……は、はい」

私は、鬼稀先輩の手を握る。鬼稀先輩は、私の腰に手をあてて、私の体を引き寄せる。

「「………………」」

私は、鬼稀先輩のリードのお陰で、綺麗な音楽に合わせてダンスをする。

「あ、す、すいません……」

私は、鬼稀先輩の足を軽く踏んでしまう。

「大丈夫です」

鬼稀先輩は、怒りもせず、笑っていた。

「…あ、ありがとうございます……」

「ハハッ………」

怒るというか、凄い笑われてますね……。恥ずかしいです……。
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