私、ヴァンパイアの玩具になりました
「でも、風邪引いた原因って…。昨日、三人に血を飲まれましたから、体がビックリしてしまったからだと…。俺は思いますよ」

「…………そうなんですか…?」

「はい。もっと単純に言えば…。薬を飲んだときに起こる…副作用みたいなものです。…でも、安心して下さい。…そのうち、体も血を飲まれたときの快感に慣れますから……」

薫瑠さんは、今までで一番目が笑っていない笑顔で私に言った。

「そ、そうなんですか…。ご丁寧に、ありがとうございます…」

私は、気にしてないふりして、薫瑠さんに向かって笑顔でお礼を言った。

スッ…──と、薫瑠さんは私の首に優しく触れた。私の体は、ビクッと震えた。

………手…冷たい……。

「優さん…、ヴァンパイアは怖いですか?」

薫瑠さんは、悲しそうな顔で私に聞いてきた。

「へ?…いえ、怖くないですよ…?」

正直、最初は怖かった…。血を飲まれて、笑顔でいられる人は…いないと思う…。

「でも…、中には…。…………、いえ。なんでもありません……。気にしないで下さい」

薫瑠さんは、ニコッと笑った。私は、?マークを出しながらも、笑いかえした。

「はい!」

薫瑠さんは、チラッと上を向いた。私は、上になにかあるのかと思って上を見上げるけど、なにもなかった。

「上になにかあるんですか?」

「い、いえ…」

「そうですか…」

ボフッ…と、薫瑠さんが私のベットに座る。薫瑠さんは、私の頬を両手で包むと、顔を近づけてきた。

「…………薫瑠さん?」

私が首を傾げるとガチャッ…と、私の部屋のドアが開く。

「「…………………」」

薫瑠さんは、慌てて私から離れた。ドアの方を見ると、翔君と裕君が立っていた。翔君は、ニヤニヤしていて。裕君は無表情だった。

「へ、部屋に入るときはノックしてから入りましょうね……」

薫瑠さんは、顔を赤くさせながら二人に注意していた。

「薫瑠兄ちゃん、今、優の事襲うとしてたくせに…ね!!」

翔君が、薫瑠さんの顔をジロジロ見ながら、ワザトらしく大きな声で叫んだ。

「な…………!?し、してません…!」

「へー………。じゃあ、なんでキスしようとシてたの?」

「き、キスしようとしてませんって!…ね、熱をはかろうと思ったので……」

「へー………。薫瑠兄ちゃんの方が熱あるんじゃない?……顔、真っ赤だよ」

翔君は、腕を組んでニヤニヤ笑っていた。

「と、年上をバカにしないで下さい!」

「してないよ。ただ、思った事を素直に言っただけだよ」

翔君は、ふざけて薫瑠さんに投げキッスをしていた。

「翔…。優、風邪引いてるんだから静かにしなよ。バカみたいだよ」

「はいはーい」

後ろで、翔君が裕君に向かってアッカンベーをしていた。

………まぁ、その数秒後バレてました。

「優。はい、リンゴ。今、食べれる?食べれるなら、僕、皮むいてあげるけど?」

裕君が、真っ赤なリンゴを私に見せた。

凄い…綺麗な赤色だな……。

「ありがとうございます。お願いします…」

「うん。分かった」

裕君は、優しく微笑んだ。私も、裕君に微笑みかえす。

裕君は、リンゴの皮むきに行くために、部屋の奥へ消えていった。
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