私、ヴァンパイアの玩具になりました

「ふーん…、あの裕がねぇ…。人のために何かするなんて…。奇跡だよ……。ね？薫瑠兄ちゃん？」

翔君が、目を開いてビックリしていた。それは、薫瑠さんも同じで。

「……そうですね…。なにかあったのでしょうか……」

薫瑠さんが、髪の毛を耳にかけながら裕君の背中を眺めていた。

…でも…、そんなに裕君が、人のために何かすることが奇跡なのかな？

「優、何かした？」

翔君が、疑いの視線を私に向けて聞いてきた。

「へ？！…わ、私は別に何も……？」

してないよね…？

「…優、バカだからな……。気づかないうちに、何かしてそうだな…」


ぅわぁ……、またバカって言われたー……。

「優、はい。リンゴ…」

翔君に、バカと言われて数分後、裕君は一口サイズの大きさに切ったリンゴをお皿に盛って持ってきてくれた。

「…ありがとうございます！」

私がニコッと微笑むと、翔君が一つリンゴをヒョイと掴んで、食べた。

「ちょっと！翔！これは、優のリンゴなんだけど！！」

裕君が、翔君の頭をベシッと叩いた。

「一つ位良いじゃん。ね？優」

可愛く、リンゴを頬張る翔君に急に話をふられ、何となく返事をした。

「え？…あ、はい……？」

「もう、本当に有り得ない。これだから、翔と一緒に優の部屋に来たくなかったんだよ」

裕君が、ぶつぶつと文句を翔君にぶつけていた。

「僕だって裕と来たくなかったしー」

「じゃあ、なんでついてきたのさ」

イライラした感じで、裕君が翔君に聞いていた。

「は？裕について行った覚えないんだけど？偶々、行くところが同じだったってだけでしょ」

あ、あれれれ？もしかして……険悪ムード……？

「僕と時間ズラせば良かったじゃん」

「いちいちそんな面倒なことしたくないしー」

翔君が、ボフッと私のベットに座った。

「じゃあ、僕の邪魔しないでよ」

「した覚えないしー」

「勝手にリンゴ食べたじゃん」

「そんな小さなこと位どうでも良いでしょ。……言っちゃ悪いけどさ。体デカいくせに…裕の器小さ過ぎだよ」

「翔は、体も小さいし。やることが、小さい子供みたいだよ」

「はぁ？！裕に言われ…」

「ケンカはいい加減ヤメなさい。優さんに迷惑ですよ」

薫瑠さんが、ケンカしている二人の間に入ってケンカを止めた。

「「………はーい」」

二人は、素直に薫瑠さんの注意に返事を返した。

「あ、優。ごめんね、はいリンゴ…」

裕君が、リンゴの盛ってあるお皿を私に手渡した。私は、それを受け取った。

「ありがとうございます。裕君」

「ぅん……、別に……」

「優！優！僕にもお礼言ってよ！そのリンゴ、僕が一人で買ってきたんだよ！！」

翔君は自分に指をさしながらニコニコと、お礼を言われるのを楽しみにしている。

「そうなんですか？……ありがとうございます。翔君」

「えへへ…」

私が、翔君にお礼を言うと。翔君は、裕君の背中をバシバシ叩いていた。

えっと、その後、またケンカを始めました(薫瑠さんがまた止めてくれました)。