私、ヴァンパイアの玩具になりました
「本当にお前たちは!優さんは、風邪をひいているって知っているだろ!なんで、安静に寝かせてやろうと思わないんだ!」

今、おじさんが、私の部屋の外で皆に説教してます。

「だってさー」

日向さんが、ふわふわーな声で反論しようとしていると。

「だってじゃない!あの薫瑠まで…」

「すいません……」

薫瑠さんが、凄い反省している声で謝っていた。

「藍!嶺美!愛希!お前たちが、優さんの血を沢山飲まなければ良い話なんだ!確かに、優さんの血は貴重で美味しいかもしれないけどな!限度を考えろ!限度を!!!」

おじさん…、そんなに怒らなくても……。部屋の中まで丸聞こえですよ………。

「はいはい」

「……………」

「チッ……………」

「愛希!反省してるのか?!」

「してまーす」

愛希君の舌打ちが、私の所まで聞こえるって……。相当大きい舌打ちしましたね…。

「はぁ………。あの裕がちゃんとしてくれてるっていうのが不幸中の幸いだけどな……」

おじさんは、大きな溜め息をついた。

「父さん、言い方なんかムカつく。“あの”って、どういう意味?」

「そのまんまの意味じゃないですかー?」

愛希君が、嫌味たらっしく話していた。

「はぁ?ケンカ売ってんの?チビ」

裕君が、愛希君の事をチビと言ってバカにした。やっぱり、愛希君は怒って。

「うるさいよ。赤ちゃん」

「赤ちゃんはそっちでしょ」

裕君は、愛希君に反撃する。

「………はぁ?意味わかんない。僕が赤ちゃんだったら、裕は猿じゃん」

「愛希、僕、本当に怒るよ」

「勝手に怒れば?」

…犬猿の仲ですね。あの二人は……。

「ヤメろよ、見てるコッチが恥ずかしい。お前らのケンカが幼稚過ぎて」

藍さんが、二人のケンカを止めた(?)。だけど、逆にそれが火に油だったのか…。

「ていうか、優が風邪引いたのってさ。藍と嶺美とチビが血を沢山飲んだからでしょ?…そんな人達にさ。なんで僕達が被害をまかれないといけないの?それこそ意味わかんないんだけど」


「へぇ……。じゃあ、そう言っている裕は、絶対に優の血を沢山飲まないって事だな?」

藍さんが、裕君に聞いていた。

「優の血、美味しいのになー。裕、損するよー…?ね?嶺美?」

愛希君が、嶺美さんに話をふった。

「…………あぁ」

嶺美さんは、愛希君の問い掛けに、ぶっきらぼうに答える。

「………お前たち!バカなこと言ってるんじゃない!沢山飲まないのは、当たり前だ!…今度、お前たち誰かが優さんの沢山の血を飲んで。優さんが風邪引いたら、優さんを住むはずだった家にお返しするからな!」

「「………はーい」」

「…………………」

藍さんと愛希君は、しぶしぶって感じで返事をして。嶺美さんの返事は、聞こえなかった。

「嶺美!返事!」

「………………………はい」

嶺美さんは、少し経ってから返事をした。

「はぁ……。……あ、そうそう。……後、一週間後。優さんは、夜鬼学園に一年生として入学するのは、知ってるよな?」

「当たり前じゃん」

愛希君は、おじさんの言葉を聞いて鼻で笑う。

「へ?優って、僕達と同じ学園に通うの?!」

翔君が、ビックリした声で聞き返した。

「あぁ…そうだ。で、お前達は知ってると思うけど…。夜鬼学園には、私達と同じヴァンパイア達やヴァンパイアの血が流れている奴らがいる……」

「だから?」

藍さんが、なにもわかってない様子の声を出して、おじさんに向かって言った。


「……優さんが、SSAの血が流れてるって情報が知れ渡ったら………」

「BC優さんは死ぬ…、でしょ?父さんが言いたいのはね」

日向さんが珍しく(ちょっと失礼ですが)、真面目な声を出して、おじさんの言葉に自分の言葉を付け足した。

……………私、死ぬの?

突然の事実のことに、風邪じゃない。死の恐怖の寒気が全身を走る。

どうしよう……。私、本当に死んじゃうのかな?
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