私、ヴァンパイアの玩具になりました
「本当に、優はバカだな」

藍さんは、苦笑いして私の所に近付いてきた。

「うぅ………」

藍さんにまで言われた…。さっきまで、優しい事言ってくれてたのに……。

「バーカ。褒めてんだよ」

「え?!」

バカって言葉は、褒めてるんですか?!

「良い意味のバカってことだよ」

「そ、そうなんですか……」

藍さんは、ニカッと笑って私の頭を撫でた。荒々しくて…でも、ちょっと温かい…。

「おい!藍!さっきも言っただろ!優さんは風邪引いているんだ!もっと優しく出来ないのか!」

おじさんが、私の部屋に入ってきて藍さんと日向さんの首根っこを掴んだ。

「ちょっ、父さん?!苦しっ…、ギブギブ……」

日向さんは、首もとを掴みながら目を瞑る。

「おい!親父!殺す気か?!離せっ!!」

バタバタッと、藍さんが暴れる。

「お前達がやってることは、優さんにとって地獄のようなものなんだよ!本当に!優さんを安静に寝かせろって、ついさっき言ったばかりだろ!」

おじさんは、日向さんと藍さんの首根っこを掴みながら、ズルズルと引きずった。

「わ、分かったから!父さん、離して!まず、手離して!父さん、俺よりちっちゃいから、首に父さんの体重が掛かるんだって!」

「お前は、一言余計なんだよ!!!」

おじさんは、日向さんと藍さんの首根っこから手を離したかと思うと。日向さんの脚を蹴った。

「ぃてててて……、本当に父さんは乱暴なんだから……。BC優さん、服脱いで僕を慰めて下さっ…、いったー!!!」

日向さんが、話してる途中で、おじさんがグーで頭を叩いた(おじさんは、ちょっと小さな椅子の上に立っていた)。

「本当に……、誰に似たのか……。優さん、申し訳ないね……。このバカ息子達が嫌だったらいつでも私に言ってくれ。………絞めるから」

ニコッと、周りに光が射すくらいに優しい笑顔で、怖いことをおじさんが私に言った。

「あ、ありがとうございます……」

おじさん……、笑顔がとても怖いです。

「じゃあ、優さん。今日は、もう、ゆっくり寝なさい。…晩ご飯は、今日一番頼りになる裕に持ってこさせるよ……。…裕、良いよな?」

「別にいーよ……」

裕君は、眠たそうにあくびをした。

「………本当は、私か執事達に持って行かせたいんだけど。今日は、ちょっと無理なんだ。本当に申し訳ないね……」

「いえ、全然大丈夫ですよ…!!」


おじさんは、本当に私のことを心配してくれたみたいで、ずっと、私に謝ってた。

…私は…その気持ちだけで、とても嬉しいです。

「…父さん、もう優の事寝かせようよ」

裕君が、おじさんの肩を軽く叩いた。

「あぁ、そうだな…。じゃあ、優さん。お大事にね」

「はい、ありがとうございます」

「優、じゃーねー」

裕君は、私に手を振って部屋から出て行く。

「んじゃ、早く治せよー」

藍さんは、裕君に続いて部屋から出て行った。

「では、僕は、ここにいますね」

日向さんは、私にそう言うと、ドアの所にあった椅子をベットの近くに持ってきて腰掛けた。

「ぇふ?!」

あ、変な声出ちゃった……。

「………何か不満でも?」

「い、いえ。別に何も……」

ただ、さっき来てくれたときに。バカがうつるから嫌だーって、言ってたから…。ビックリしちゃっただけで……。

「そうですか…。…………ふぁあ…。僕も眠いんで、寝ますね……。失礼しまーす……」

え?ええ?エエエエッ?!

日向さんは、私が横になっているベットの中に躊躇いもなく、普通に入ってきた。

「しょうがないから、添い寝してあげますよ。ほら、早くねんねしましょうね」

「………は、はい……?」

完璧に子供扱いですよね……。

日向さんは、優しく私を抱きしめて背中を撫でてくれた。

ちょっと時間が経って。私が、ウトウトしていると、おじさんが部屋に戻ってきて、日向さんの頭を思い切り叩いてから、部屋から連れ出していきました。
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