私、ヴァンパイアの玩具になりました
「…………裕君?」

「……いるなら、入ってくれば?」

裕君は、ドア越しに誰かに話しかける。すると、裕君の声に返事をするように、ドアが開いた。

「愛希君…?」

愛希君は、ムスッとした顔で部屋に入ってきた。

どうやら、部屋の前にいたのは、愛希君だったようです。

「なに?優になんか用事でもあるの?」

裕君は、さっきの優しい声とは違う。怖い声で、愛希君に聞いていた。

「裕に関係ないから。それに、僕だけじゃないよ。来てるのは。…ね?」

愛希君が、廊下に出て、右側をチラッとみる。

「バレた?」

おちゃらけた感じで、翔君は私の部屋に入った。

「バレバレだよ。翔」

愛希君は、無表情で翔君を横目で見た。

「えー……、これでもバレないように、忍び足で来てたのに……。何で、愛希、僕がいるってわかったの?」

「…だって、翔の行動が普段から大袈裟だから、後ろでチラチラ見えてるんだもん。そりゃ、嫌でも分かっちゃうよ……」

「やっぱり、愛希には適わないなー」

ヘラヘラと、翔君が笑った。

「そう思うなら、堂々と来れば良いじゃん」

愛希君は、苦笑いをする。

「でも、さ?それじゃあ、面白くないじゃん!」

「それじゃなくても、面白くなかったよ……」

愛希君は、深いため息をついて、ベットの隣にあった椅子に座った。

「……ねぇ、優。…もしかして、裕の作ったお粥完食したの?」

愛希君が、青ざめた顔で空になったお皿を見ていた。

「ぇっと……、はい。……完食しました」

私が、笑顔で答えると。

「「よく食べれたね…!?」」

顔が青ざめた愛希君と翔君の声が、完璧に重なり合った。

「あんな、クソマズい食べ物が食べれるなんて、優の頭おかしいんじゃない?!ま、まさか、熱あがった?!」

翔君が、私の方に早走りで近寄り、私のオデコに手を当てた。

「ちょっと!翔!凄い失礼なんだけど!僕に謝ってよ!」

裕君が、頬を膨らませて、怒った。

「えー……。本当の事を言っただけなんだけど…」

翔君が、横から私に抱きついてきた。私は、ビックリして、体が少し震えた。

「はぁ?!そういう翔の作った物なんて、生ゴミみたいな臭いしてるじゃん!」

裕君の一言に、翔君の眉がピクッと動いた。

「…なにそれ。僕にケンカ売ってんの?」

「最初にケンカ売ってきたのは、翔じゃん!」

「あ、あの…ケンカは……」

今にも、殴り合いになりそうな雰囲気の二人の間に、私はベットから出て止めに行こうとした時。

「きゃぁっ………」

一日中殆ど、ずっとベットで過ごしていた私が急に立ったので足に力が入らず、私は床へと顔面から倒れ込んだ。
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