私、ヴァンパイアの玩具になりました

紅茶、飲みませんか?

「…………んっ…」

私は、ゆっくり目を開ける。そして、軽くなった体を起きあがらせて、手をオデコに当てた。

……あ、もう熱下がってる…。

「これは、全部皆さんのお陰だな……」

うーんと、腕をのばすと。首回りにヒンヤリとした感覚。

「昨日の……」

ネックレスだ…。飾りが十字架の形になってる。

「………藍さんに似てたな…」

藍さんもどきさんは、藍さんじゃないって言ってるから。本当に違うのかもしれない。

「……皆さんに、お礼言わ…」

私の独り言の途中で、ノック二回された後、部屋のドアが開いた。

「ど、どうぞ?」

「……優さん……?」

おじさんが、ニコッと笑って、部屋に入ってきた。

「あ、おじさん!」

「おはよう。優さん」

おじさんは、ベットの近くに来てくれました。

「おはようございます!おじさん!」

「熱は下がったみたいだね?」

「はい!ありがとうございます!」

ニコッと、私は、おじさんに笑いかけた。おじさんも、笑顔を返してくれた。

「でも、病み上がりだから、安静にしておきなさい…」

「はい!」

私は、笑顔で手をあげた。

「あ、朝ご飯持ってくるかい?」

「い、いえ!自分で、持ってきます!もう、ピンピンに動けます!」

さすがに、二日間も甘える事は出来ないから……。

「そうかい?なら、皆で一緒に食べようじゃないか」

「……はい!」

皆さんと、初めてのお食事です!楽しみです!

「じゃあ、用意出来たらリビングに。朝ご飯は八時からだから。ぇっと…今、七時だから、ゆっくり来なさい」

「分かりました!!」

「じゃあ、待ってるよ」

おじさんは、軽くお辞儀してから、私の部屋から、出て行った。

「朝ご飯!朝ご飯!」

楽しみ、楽しみ!

………って、言ったって……。

「何着れば良いんだろう?」

私の独り言と同時に、部屋のドアが開いた。私は、ビックリして開いたドアを見た。

「メイド服でも、着れば良いんじゃないんですか?」

日向さんが、準備よく。メイド服を持って、部屋の中に優雅に入ってくる。

「おはようございます。BC優さん」

はい、どうぞ?と、日向さんが私にメイド服を手渡す。

「……おはようございます」

私は、日向さんにメイド服をオドオドしながら返す。

「早く着て下さい」

「着ないです…」

「着て下さい。初めて会った時に、言うこと聞いて下さいって言いましたよ?」

「でも、さすがにコレは……」

ミニスカで、露出度が凄いし…。私、こんなに露出するほど良い身体でも無いし……。

「…別に、見られる程の胸も無いから良いじゃないですか?BC優さん」

日向さんが、口を尖らせて拗ねていた。

拗ねたいのは、私なのに……。

「………………」

でも、…いくら…なんでも…嫌だ。

「…じゃあ、血を一滴残らず飲まれるのと、どっちが良いですか?」

「……どっちも嫌で…」

「……BC優さん。僕、実は短気なんです。…それと、最近満足出来る位の美味しい血を飲んでいないので、喉がカラカラなんです。…命とメイド服。どっちですか?」

日向さんは、無表情で二択のどちらかを私に選ばせる。

「……命で」

「さすがBC優さん。命を選ぶなんて、偉いです。…じゃあ、着替えてきて下さい。…因みに、セーラー服とナース服等もありますよ?」

ニコニコと、周りに花を纏わせながら、メイド服を改めて、私に手渡す。

私は、渋々受け取り、チラッと日向さんを見る。

「……それは、遠回しに着て下さいと?」

「いいえ。着なさい、です」

命令系でした。

「…分かりました」

「違います、そこは。かしこまりました、ご主人様です」

言って下さい、と日向さんが微笑んだ。

「か、かかかか、かしこ…、ままりましした。ご、ごごごごしゅじんしゃま……」

噛みまくりましたね。

「…ここまで言えないおバカさんは初めてです」

「す、すいませ…」

「…もう良いですから、着てきて下さい」

「は…。か、…かか……。かし…こまりま…した、ご主…人…様……」

端から見たら、変な人だよね?!私!

「では、楽しみに待ってますね」

「…………………」

私は、日向さんの黒笑顔を見てから。脱衣場で、パジャマからメイド服にのそのそと着替えた。
< 44 / 122 >

この作品をシェア

pagetop