私、ヴァンパイアの玩具になりました

「同じと言っても。母親がいないだけですけど」

でも、今は…。と薫瑠さんは、話を続ける。

「優さんがいますから。少なくとも、俺は寂しくはないですよ。欲しかった可愛い妹が出来たので」

ニコッと、薫瑠さんは優しく微笑んだ。

か、可愛いなんて…。恥ずかしいです…。でも、嬉しい気持ちも強いんだ……。

おばさん以外に、新しい家族が出来たみたいで。

「……私も、薫瑠さんみたいなお兄ちゃんがいたらな、って思っていました」

「じゃあ、両思いですね」

「はい。両思いです」

ニコニコ笑っていると、バンっとドアが開く。

「…薫瑠と優が？！」

「「両想い？！」」

ある２人が、私を壁に追い込む。

「…愛希君…翔君…？あの……」

ある２人とは、愛希君と翔君。

「なに？優は、僕を裏切って薫瑠と付き合うの？」

「両想いってどういうことなの？！」

２人は、ドンドンと容赦なく私に近付いてくる。

「あ、の…何か誤解を……」

「違いますよ。愛希、翔。…ただ、俺と優さんが同じ事を思っていたので、両思いって言ってたんですよ」

薫瑠さんは、愛希君と翔君を私から引き離す。

「あ、なんだ。…ビックリした僕がバカみたいだった……」

翔君が、ふぅ、と息を吐いた。

「…翔に同意。その前に、薫瑠と優がくっつくなんて、まずあり得ないし」

薫瑠さんは、愛希君の言葉に少し眉をひそめていた。

「…ていうか、……。優、なんでメイド服着てるの？」

愛希君が、ジロジロと上から下へ。下から上へ、視線を動かす。

「日向さんに、着て下さいって脅されました」

「ふーん……。………………」

愛希君は、少しの間ジーッと私の事を見て。その後、すぐに視線を逸らした。

「………………？」

「あ、そうそう。僕達、お父さんから伝言あって優の部屋に来たんだった」

翔君が、手をパチンッと叩いて、私と視線を合わせる。

「後、少しで時間だから、もうリビングに来てなさいだって」

翔君は、おじさんのモノマネ？をしながら、私に伝えてくれた。

「あ、はい。分かりました」

「んじゃ、早く着替えてリビングに来てね」

「……間違っても、その服装で来たらダメだから」

「分かりました」

翔君、愛希君が脱衣場から出て行った。

「俺は、部屋で待ってて良いですか？…一緒にリビングに行きませんか？」

薫瑠さんが、ニコッと微笑む。

「勿論です！一緒に行きたいです！」

「ありがとうございます。…では、待っていますね」

「はい！」

薫瑠さんは、私の頭を優しく撫でると。薫瑠さんが、脱衣場から出て行き、部屋で待っててくれる事になった。

「あ、早く着替えないと！」

私は、急いで、メイド服を脱いで、元々着ていた服装に戻った。


「薫瑠さん……。あの、上着、ありがとうございました…」

私は、着替え終わり、脱衣場から出て、薫瑠さんに貸してもらった上着をかえした。

「えぇ、どういたしまして」

薫瑠さんは、私から上着を受け取ると。格好良く上着をきた(上手く言葉に出来ません)。

「では、優さん。行きましょうか」

「はい！」

薫瑠さんは、私の歩幅に合わせて、リビングまで一緒にきてくれた。