私、ヴァンパイアの玩具になりました
「……あ、の…?」

私、もしかして、また無意識に余計なこと言っちゃった?!この空気は、そんな空気だよね?!…あわわわ、私…な、なにか言ったのかな?!

「…優、なんか勘違いしてない?逆だよ逆。皆、優の隣に座りたいってケンカしてるんだよ?」

私が、オドオドしていると。翔君は私に向かってニコッと微笑んだ。

「…え?そうなんですか?」

私は、嬉しくて、少し涙ぐんだ。すると、翔君は私に近寄って、長い指で涙を拭いながら、優しく笑った。

「うん!…優の隣が嫌っていう人は、絶対いないから安心して?」

「……本当ですか?……良かった…、皆さんから、嫌われてるのかと…」

勘違いだったなら嬉しいです、と私は皆さんに微笑むと。皆さんの動きが止まる。

「「「………………」」」

「…あの…、皆さん?」

あれ?…止まるほど、私の顔キモかった…んですかね…。

「これだから、僕はBC優さんが嫌いなんです」

そう言って、日向さんは、プイッとそっぽを向いた。

日向さんの顔が唯一見えるおじさんは、ニヤニヤと日向さんを見ていた。

「…え?!やっぱり嫌われてたんですか?!」

私は、日向さんの一言に、さっきまでの安心がボロボロと崩れていった。

「僕は、会った時から、BC優さんが大嫌いですもーん」

日向さんは、そう言うと。クルッと私に視線を向けると、ベーッと、舌を出した。

「そ、そうでしたか……」

…日向さんから、嫌われていたことは、何となく感じていたけれど…。ここまで、はっきり言われると、私の脆い心が…。

「優、優…」

私が、落ち込んでいると、隣で翔君が小さな声で私を呼ぶ。

「な、なんですか……?」

私も、翔君に合わせて小声で返事を返す。翔君は、私の耳に唇を寄せると。

「日向兄ちゃんの大嫌いは、大好きの反対だから、気にしなくて大丈夫だよ」

「………え?」

私は、びっくりして、日向さんの方に視線を向けると。日向さんは、ブスッとして私と翔君の方を見ていた。

翔君は、私を悲しませないように、あんなことを言ってくれたのかな?…それとも、…本当のこと?

…いやいや、本当のことな訳ないか。

「翔ー、今BC優さんに何言ったのかな?」

日向さんは、何かを疑っているような視線で、翔君に問いかけた。

「ん?日向兄ちゃんって、格好いいよねって」

「翔、それはそうだけど。本当のこと言ってよ」

日向さんは、ニコニコしながら、翔君に近寄った。

「えー?本当に、そう言ったよね?ねぇ、優?」

翔君が、私に視線を送ると。日向さんが、チラッと私を見てくる。

「は、はい!本当に、翔君はそう言ってましたよ!」

これは、バレたらいけないパターンの嘘だ。…身の危険が…。

というか、日向さんの笑ってない目が怖い!とても、怖いです!

日向さんに見られると、ダラダラと、冷や汗が出そうになる。

多分、今の出来る限りの笑顔は、全然口角があがってないような気がする…。
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