私、ヴァンパイアの玩具になりました
私は裕君のことを気にしながらも、メイドさんと執事さんに捕まってしまい、制服のサイズを正確に測ってもらっていた。

そして、サイズを測るだけで約三十分経った後。

私はやっと自由の身になり、少しの間、リビングの隣にある大きな部屋のソファに、ボフッと座っていた。

「疲れたー……」

制服だけじゃなくて、体操着や、上靴のサイズも測れる物は全部測った。

結構、疲れたな…。いや、メイドさんと執事さんの方が疲れてるよな…。

「ちょっと、風にでも当たろうかな…」

私は、そう思うとすぐに、外へ出た。



外に出ると、心地よい風がちょうど良い強さで吹いていた。

外は、春特有の桜の香りがして、気持ちが少し落ち着いた。

「……綺麗な空気だな…」

私は、広い庭を散歩をすることにした。

「…やっぱり、広いな…」

花農園があるくらいだから相当広いんだろうな…。

あ、前、嶺美さんと来た噴水…。

ん…紅茶の良い香り…。

「……あれ?薫瑠さんと、嶺美さん?」

私がチラッと噴水の奥を見ると、見覚えのある二人の姿。

噴水の奥に見えたのは。

白いテーブルに白い椅子。

そして、白い椅子に座りニコニコしながら紅茶を飲んでいる薫瑠さんと。

白い椅子に座り無表情で紅茶を飲んでいる嶺美さんがいた。

「…二人って意外に…仲良いのかな?」

紅茶を飲んでいる二人の姿は、絵になるほど、とても格好良かった。

…私も行ってみたいな……。紅茶…美味しいのかな?

…い、……いやいや、でも…邪魔しちゃダメだし…。

私は、気づかれないように後ろを振り向き、家の中に戻ろうとした。

だけど……。

「んきゃーーー!!!」

振り向いて歩き始めた途端、足がフラつき、その場でド派手に転んでしまう。

「いったー………」

私は、涙が出そうになったけれど、グッと力を込めて涙を止める。

膝がなんか、痛い…。

「あ、膝から血出てる…」

スカートを捲ると私は、膝から血が出ていることに気づくと、手で付いた砂をはらう。

「うぅ……」

痛い…。

私が傷口にフーフーと息を吹きかけていると。

「大丈夫ですか?」

急に後ろから声をかけられ、ビックリした私はバッと後ろを向く。

「ひぅっ…、あ…。か、薫瑠さん……」

ば、ばれちゃった…。邪魔しないように、静かに戻ろうと……。

あ、私が転んじゃったからか…。

私は、静かに転ぶことも出来ないのかな…。

「凄いド派手に転んでいましたけれど、ケガはしなかったですか?」

薫瑠さんは、私の顔に砂が付いていたらしく、親指でとってくれる。

「い、いえ…。ご、ごご、ご心配なく……」

せっかく、楽しく紅茶を飲んでいたのに…私のケガの手当てまでさせられない…。

「………、血の香りがしますね…。…ちょっと良いですか?」

薫瑠さんは、しゃがみ込んで、私の穿いていたスカートを膝まで捲った。

「ケガしてますね…」

薫瑠さんは、そう言うと私の身体を軽々と持ち上げる。

「きゃ………」

「手当てしてあげますので、待ってて下さいね……」

ニコッと薫瑠さんが微笑む。

急に、隠していた自分が恥ずかしくなり、小さい声で返事をした。

薫瑠さんは、ゆっくり歩いて、嶺美さんといたところに私を連れていく。
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