私、ヴァンパイアの玩具になりました
「…ちょっと!王神!優から離れ…っ…!!あーもー!!優、助けて!!」

私が少し困っていると、裕君は王神君に怒鳴りつけてから、私に助けを求めてきた。

「え、あの……」

王神君が、腰から手を離してくれません…。

「裕、お主は自分で逃げることが出来ぬのだな。…そんな奴に、優から離れろ、だなんて言葉を言う資格はないんじゃないかの?」

「…ちっ……。……ねぇ、君たち!…後で僕がたっくさん話聞くから、今はちょっと離れてくれない?…お願い出来る…かな…?」

王神君の言った言葉に、裕君は怖い顔で舌打ちをすると。

裕君は女子に、天使みたいな微笑みを向ける。

「「「「はぁぁい!!」」」」

そんな裕君の微笑みに、女子は目をハートにさせると、大人しく自分達の席に戻っていった。

……裕君、女子の扱い方を分かっていますね…。

裕君は、最後まで笑顔で女子に手を振っていた。

「…で?王神、逃げれたけど?…早く優から離れてよ。……友達とか薄っぺらい関係は許さないから」

私達に近づきながら、無表情で裕君は話していく。

裕君と王神君は、二人で睨みあう。

「誠にすまぬが、ついさっき優と我は正真正銘の友達になった所じゃ。…もうその言葉は、意味がないのと同じじゃ」

「はぁ?!ふざけたこと言うのいい加減にし…」

「はーい!皆ー!席についてねー!」

ついに裕君の怒りが頂点に達したとき、教室の扉が開いて綺麗で優しそうな女の先生が入ってきた。

綺麗なピンク色の長い髪の毛に、色白な肌。クリッとして大きなピンク色の瞳は、とても可愛い。

あ、でも女の人にしては結構身長が高いです。

「えっと……、ということで…。一旦、座りません…?」

「そうじゃな、その方が良さそうじゃ」

私が、裕君と王神君に言うと王神君は、ニコッと優しく微笑んだ。

「………ちっ……」

裕君は、不機嫌になりながらも、私の言ったことを聞いてくれてたのか、裕君は後ろの席の椅子を荒々しく引いてドカッと座った。

「……………」

……裕君、怒ってしまいました…よね……。

「優、座らんのか?」

「あ、…いえ……。えっと……、私の席…」

私は、黒板に書いてある自分の名前を探して席を確認する。

………あ、通路挟んで隣、王神君だ…。

私は、女子に睨まれながら、後ろから二番目の席に座った。

「席まで近いんじゃな。…嬉しいことじゃの」

「そうですね」

王神君は、また優しく微笑んでくれて。それが嬉しくなって私も王神君に微笑み返す。

「…………っ……」

私の顔を見て、王神君は急にそっぽを向いて視線を逸らした。

「……そ、…その笑顔は…反則じゃないかの…?」

「………へ?」

王神君の言葉に疑問を持ち、私は王神君に聞き返した。

「……か、…か…───…じゃ…」

王神君は、両手で自分の顔を隠してボソボソと呟く。

ん?ちゃんと聞こえませんでした…。

「あの、王神君…。聞こえなかったので、もう一度言ってくれませんか?」

「い、嫌じゃ!…そ、そんな気にする事ではない…」

私が、もう一度言ってくれないか、と頼むと王神君は首を横に振って、赤い顔で苦笑いを浮かべた。

「そうですか…?……なら良いんですけど…」

私は多分、もう言ってくれないだろうと諦めて、身体を前に向けた。

「あ、もう入学式が始まるわ!…先生の自己紹介は、入学式が終わってからにするからねー!…では、廊下に出席番号で並んでー!」

先生がニコッと笑うと、クラスの皆はぞろぞろと廊下に出て行く。

私も遅れないように、皆について廊下に出て行った。

女子の列に、並びながら私は担任の先生の事を考えていた。


あの綺麗な女の人は、私のクラスの担任の先生だったんですか…。

優しそうな人が担任の先生で良かったです!

「じゃあ、並んだわねー?体育館に行きますよー!」

担任の先生は、手を挙げながら先頭に行き廊下を歩いていく。

私は、先生の背中を見ながら口元を緩めた。

どんなクラスかは、まだ分からないけど…。これからの毎日が、とても楽しみで胸がいっぱいです!

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