私、ヴァンパイアの玩具になりました
「………なに?僕の言うこと聞けないの?」


無表情の愛希君に見つめられると、恐怖で体が動かなくなった。

「す、すいませ…ぐっ………」

ゆっくりと、愛希君は私の首を絞めていく。私は、愛希君の手を取ろうとするけど。小柄な愛希君でも、やっぱり男の子で…。

息が出来ない…。苦しいよ…。


「………ふふっ。……苦しそうな顔って…見てると楽しいね………」

「……は…なし……て………」

目頭が熱くなり、涙が少しずつ出てくる。

「えー…。だって、僕の言うこと聞かなかったじゃん………」

「……な…んで……も聞…きま……す、か…ら…。……ゲホッ……ゲホッ…、……はぁ、はぁ……」


愛希君は、私の首から手を離してくれた。滲む世界の中で、愛希君は満足そうに笑っていた。

「じゃあ、一緒にリビング行こ?」

「………は、はい」

愛希君は、私の手を引っ張って私を立たせてくれた。そのまま、愛希君は私の手を掴んだまま、花農園から出る。


花農園から出て、建物の中にはいり、リビングに向かう途中の廊下で。

「あれー?愛希だー……。って、誰?」

愛希君より、少し身長が高い。髪の毛は綺麗な銀髪。フワフワな髪型。瞳は赤色。動物に例えると、ウサギみたいに可愛い。

でも、声は愛希君より高かった。

「あ、翔。優はね、僕の奴隷だよ」

「…………え?!」

いつから?!いつから、私は愛希君の奴隷に?!

「ふーん……。そうなんだ。役に立たなさそうな奴隷さんだね?アンタ、名前は?」

サラリと笑顔で、酷い事言われたような気がせるのは…、私の聞き間違い?

「か、神咲優です……。今日から、兄弟の方達のお世話する事になりました」

「へー……。愛希の奴隷さんじゃなかったんだ…。まぁ、良いや。僕、翔。あ、アンタの血、ランクは?」

「SSAです……」

「…………本当に?!」

翔君は、可愛い笑顔で私の事を見てきた。私は、あまりにも明るい笑顔でビックリして、苦笑いを返した。

なんで、皆、顔を明るくするんだろ?……私の血のランクを知って、何があるんだろう?

「翔、ダメだよ。僕の奴隷なんだから。手、触れるの無しだから!」

愛希君は、私の事を愛希君の後ろに行かせた。

「ごめん。それ無理だわ。さすがの僕でも、SSAを見逃す事は出来ないから」

「…………きゃっ」

翔君に、手を引っ張られて抱き締められる。私は、ビックリして体が固まり顔が熱くなった。

「ちょっと優。早く離れて…。じゃないと、お仕置きするよ?奴隷は、主人の命令を聞かないとダメなんだよ?」

愛希君は、私の事を凄い怖い顔で睨みつける。私は体を震わせながら、翔君から離れようとする。

だけど、翔君に強く抱き締められてるから離れられなかった。
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