私、ヴァンパイアの玩具になりました
「ちょっと!優!」

愛希君は、今にもキレそうな声で、私に怒鳴る。

「コラコラ、君達…。その女の子が困ってるじゃん…」

その声の主は、私の腕を引っ張って翔君から離してくれた。


助けてくれた男の人は。身長が高くて。綺麗な薄紫の髪の毛。長い髪の毛を白いヒモで束ねていた。瞳は、薄紫。見つめられると、その瞳に吸い込まれそうになる。

「あ、ありがとうございます」

「いえいえ」

うわぁ……。紳士みたいな笑顔だ……。と、思ったのも束の間。

ムニッと、その紳士みたいな男の人に胸を鷲掴みされる。

「………………ぅわぁあ?!」

私は、凄い速さで後ろに下がって愛希君の後ろに隠れた。

紳士みたいな男の人は、手を見つめながら。

「うーん……。もう少しあれば良かったんだけど…。BとCの間位か……。少し、小さいですね」


紳士みたいな男の人は私に、紳士みたいな微笑みを見せる。


でも、その微笑みとは裏腹に…。ザクザクッと、私の心に言葉のナイフを突き刺す。

「よ、余計なお世話ですぅ………!!」

「そうだね。ただの余計なお世話だよ。で?さっきから思ってたんだけど…。君は一体誰です?」

「か、神咲優です。……きょ、今日から、兄弟の方達のお世話する事になりました」

「そうなんですか。血のランクは?」

「…………SSAです」


紳士みたいな男の人は、また皆と同じ反応でビックリしていた。

「………………?!そうなんだ…。そういう事なら、胸が小さいのは別に良いな」


ニヤッと紳士みたいな男の人は、私の胸を見ながらニヤツいた。

「…………………」

「……そんなに警戒しないで?僕は、日向。よろしくね。優さん」

「……よ、よろしくお願いします………」

あ……、リビング………。


「あの、お願いがあるんですけど…。リビングにおじさんが、集まって、って言ってました……」

「…………えー…。しょうがないな………」

「面倒だけど、仕方ないね………」

「あ…、ありがとうございます!」

私は、二人にお辞儀をした。

「その代わり、今度、言うこと聞いてね」

「お願いね」

「…………は、はい……」

「じゃあ、行こっか」

日向さんは、スタスタと長い脚を交互に動かして歩き出す。

私は、愛希君に右手を。翔君に左手を繋がれてリビングまで歩く。

二人とも、手が…氷みたいに冷たい………。
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