私、ヴァンパイアの玩具になりました
朝、クラスメートがほぼ集まっている教室へ着くと、第一に伯一先生に呼ばれ私は伯一先生のいる教卓に向かう。

伯一先生は私が来ると教卓のしたからあるものを取り出す。

そして、教卓の上にドサッと大量のプリントを、置くと伯一先生はニコッと笑う。

「神咲さん。…このプリント、職員室に行って私の机の上に置いてきてね」

「…え、私……ですか?」

「えぇ。…ごめんなさいね、本当は神咲さんよりも、逞しい男の子に任せたいんだけど、学園の決まりだから…。…少しずつでも、良いから…頑張ってね」

そう言い残すと、ポンッと私の頭を優しく撫で、伯一先生は教室から出て行った。

「………………」

教卓の上に携わるプリントを見て思わず苦笑いがこぼれる。

…よし。神咲優!頑張ります!

と、思ったのに…。

一番上からプリントを取ろうとした時、プリントが揺れ、そのまま全て下に落ちてしまった。

「…………………」

落ちたプリントを見て、私は溜息を吐いて、プリントを集める。

集めてる途中で、誰かの手が私と重なった。バッと上を向くと、ニコッと優しく微笑んでる王神君だった。

「我も手伝おう」

「…王神君……。ありがとうございます!」

「……ぁ、…ぃや…。…れ…、礼には…ぉ……及ばぬ……」

王神君へ向けて、微笑み返すと、王神君は顔を何故か真っ赤にして、プリントは黙々と集めだす。

………王神君、どうしたんでしょうか…?私、また誰かを無意識に怒らせるような事っ………!?

あ、謝らないと!

「お…」

「…そ、…そういえば優。…昨日はどうして休んだんじゃ?」

私が口を開いたと同時に、王神君も話し出して。私は、まず王神君の疑問に答えることにした。

「へ!?…あ、えーと……、…ふぎゃ………」

私が正直に言おうか迷った瞬間。誰かがしゃがみ込んでる私の背中に、飛び乗る。

「優は王神のせいで休んだんだよ。…王神なんかのせいで」

私の背中に飛び乗ってきたのは、どうやら裕君らしいですね…。急にで、ビックリしました…。

…あ!そんな事より!王神君の誤解をとらないと!王神君のせいで、休んでないんですから!

「ぃや、違っ………」

「…我のせい……じゃと?…詳しく聞こうか。…裕」

言った時には、時すでに遅し。王神君は、裕君の言葉が疑問に思ったのか、プリントを集める手を止めて、裕君に視線を向ける。

「は?なんで王神に教えないといけない訳?嫌に決まってんじゃん。バーカ」

「…………そうか。…ならよい。…後でじっくり優と二人で話すときに教えてもらう。…………優、お待たせした。…職員室に行こうじゃないか」

王神君はそう言い、プリントをパパッと素早く集めると、私に半分以下のプリントを持たせてくれる。

「へ?…お、王神君一人にそん…」

「…何言ってんの。二人にするわけないじゃん。やっぱりバカなの?王神って」

私が話しはじめると、裕君は私からプリントを奪い取り、王神君からもプリントを半分以上奪い取る。

「……お主は知っておるか?バカと言う方がバカなんじゃぞ?」

王神君もやり返すように、奪い取られた以上のプリントを裕君から奪い取った。

「なにそれ?僕にバカって言いたいの?」

裕君は、王神君の言葉にキレたのか、あからさまに不機嫌な態度をとり、プリントを全部奪い取ってしまう。

「そんな事、一言も言っておらぬ。…ただ、自分でバカじゃと言っているようなものだと、教えてやっただけじゃ」

「はぁ?なにその上から目線。凄いムカつく。……これだから、優の友達なんかにしたくなかったんだ」

「…そういうお主は、優とどんな関係じゃ。そんな偉そうな口叩いてるからには、相当強い関係なんだろうな?」

王神君は、そう言いながら裕君からプリントを全て奪い返した。

何を思ったのか、裕君は王神君をバカにしたようにクスクスと笑うと、私の肩を抱き寄せた。
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