私、ヴァンパイアの玩具になりました
早くも授業が終わって、次の授業の準備をしていると、何故か廊下が騒がしくて。

気になった私は、足早に教室から出る。

廊下に出ると、何故か女子ばかりいて。人集りの中をかき分けて、中心の近くに行くと、見覚えのある人達。

「あ…、藍さん達だ…」

女子に囲まれていたのは。

那崎兄弟の皆さん。

いつの間にか、愛希君達も中に混ざっていました。

…バレないうちに逃げた方が良いですよね。よし、逃げ…。

「なに逃げようとしてるんですか?BC優さん?」

ようとしたら、日向さんに手首を掴まれてしまいました。しかも、逃げようとしていた事がバレていました。

……それに、周りの女子の視線が凄い痛いです…。私を…に、睨んでる人もいます…。こ、怖いです。…は、早くこの場から逃げないと。

「……あ、…あはは…。え?…に、逃げようだなんて…そんなこ…」

早くその場から逃げたくて、私は咄嗟に嘘を吐くことに。

「嘘ついて何があるんですか?…嘘ついてアナタにあるものは、キツいお仕置きだけですよ?…今、素直に認めたら柔らかいお仕置きダケにしておきますよ?」

したんですが、またまたバレていました。

日向さんは、いつものように周りに華を飛ばして優雅に微笑んで、私の手首を掴む力を強くする。

「……ど、どちらにしてもお仕置きされるんですか…」

「キツいお仕置きがいいですか?」

日向さんは、口角をあげてニコッと笑う。

…目がやっぱり笑ってません…。

「………すいません。逃げようとしてました」

さすがにもう嘘を貫き通すのは難しいと判断した私は、逃げようとしていた事を素直に白状することにした。

…今日、分かったことは私に嘘はダメですね。これから、嘘を吐くのは少しずつヤメることに…。

「素直ですね。偉いです。…今日、覚えといて下さいね?」

「……………うっ…」

…素直に白状しても、お仕置きというのはされるんですね…。

日向さんは、私の手首から手を離す。私は少し痛む手首を撫でながら、薄々気になっていた事が一つ。

「あの、どうしてここにいるんですか?」

気になっていた事を私が皆さんに問いかける。

「優さんが心配で、来ちゃいました」

薫瑠さんはそう言うと、私の頭を優しく撫でる。

「へ?私ですか…?」

皆さんがここへ来てくれた理由が私の事で。嬉しくて気づいたら、私は自然と笑顔になっていた。

「はい。…ちゃんと友達出来たのか、本当に心配で…」

友達、と聞いて思い浮かんだのは一人。

「友達なら王神君が…」

「………君?…男の子ですか?」

「はい!優しい男の子です!」

私は王神君が友達という事を、自慢するかのようにニコニコ笑う。

「…そう…ですか。…優さんに友達がいるなら、良かったです。……それなら安心しました」

私が、男の子、というと薫瑠さんは切ない表情のまま笑った。

それから、皆さんと会話していると、ふと、どこからか女子の小さな声が耳を通る。


「あの子、那崎様達のなんなのかしら?」

「…なんで、あんな地味な子が那崎様達と居るの?」

「那崎様達、なんであんな子と…!」


周りからは、私に関する事で。

………そうですよね。私なんかが、こんなにキラキラしている方達といるなんて…。

私はここにいるべき存在では、ないです…よね…。早く、この場から離れないと…。
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