私、ヴァンパイアの玩具になりました
「優って期待させておいて、一気に落とすよね……」

翔君は苦笑いを浮かべながら、また深い溜息を吐く。

「………へ?…期待…、ですか?」

私、なにか翔君を落ち込ませるような事言ってしまったんでしょうか…。

「…勘違いした僕が悪いんだけどね…」

翔君は相当落ち込んでいるのか、はぁ…と深い溜息を吐く。

「…あの、ごめんなさい……。なにか私が無意識のうちに翔君を傷つけてしまったみたいで…」

「いいよいいよ。優のせいじゃ無いから。…僕が勘違いしただけだから!優は気にしないで!」

翔君は私の頭を優しく撫でてくれて。翔君の優しい性格に私は少し涙がこみ上げる。

「……でも………」

私は俯いて、声のトーンを下げた。

「…うーん……。あ!…じゃあさ……」

翔君は私の手首を急に引っ張ると私の事を優しく抱きしめる。

翔君は、太陽のような温かい香りがした。

「ちょっとの間、抱きしめさせてくれたら許してあげる…」

私の髪の毛に指を通して、ギュッと私の身体を強く抱きしめ直す。

「………あ、あの……」

びっくりした私の身体は変に固まってしまう。

…翔君の手が少し震えて……?どうしたんでしょう…。

「……なに?」

……言わない方が良いような気がしてきました。

………多分、怒りのあまり…。…は、ないですよね…。翔君、凄い優しいですから…。

「……いえ、…なんでもないです……」

「………そっか……」

「…はい……」

静かな体育館倉庫。たまに先生の声が聞こえる。

そんな時、突然。

翔君の冷たい手が私の首筋に触れる。

「……………っ」

突然触れられた私の身体はビクッと震え上がった。

「…優…、良い香りがする……。血のフェロモンが…凄い……」

ペロリと翔君は私の首筋をゆっくり舐める。私の身体は本能的に翔君から離れようとした。

でも。

「……しょ、……翔…君…、ぁの……」

翔君は私の後頭部を固定させたまま、私の身動きをさせなくする。

…大変です……。…ピンチな気がします。

「逃げる…、なんてさせるわけないでしょ?」

翔君のいつもの明るくて優しい声が変わった。

「………翔君…?」

私は上を向いて翔君の顔を確認する。

…そこには。

翔君なのに、あの明るい翔君とは思えない位に、冷めた瞳をしていた。

「………僕がいつでも理性あると思ったら、大間違いだからね。…僕だって…、男で…血が大好きな…ヴァンパイアだよ…?」

翔君はそう言うと、私の腰を抱き上げてマットの上に私を乱暴に落とした。

「…ぃっ……、…………!?」

翔君は私の上に覆い被さると、私のYシャツのボタンを外し始めた。

「…ゃ、…ゃめて…ください…!」

私が翔君の手をどけようとしても、翔君の力に私の力は全くと言っていい程にかなわなかった。

翔君は私のYシャツの第三ボタンまで外し終わると、私の肩をさらけ出す。

「………………」

翔君は私の肩を優しく撫でた。それから、肩に唇を寄せると翔君はゆっくりと牙を刺す。

「…ぅあ…っ……────」

ピリッとした軽い痛みが肩を刺激して、その刺激は段々と快感へと変わっていく。

「────………ん、…優の血ヤバい…。病みつきになるね…」

翔君は一回肩から唇を離し、そう言うと逆の肩にまた牙を刺した。

「…い……ッ…た……」

肩の痛みに我慢出来なくなった私は、翔君の肩を押す。

だけど、力が入らない手で押しても当たり前にビクともしなくて。

いつもの翔君と今の翔君が違いすぎて、恐怖を感じた私の目には涙が浮かび上がる。
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